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二 主屋の平面
道路に近いほうが入口になるが、東寄りに大戸をもつ家が多い。規模は桁行七間半-九間、梁間四間半-六間が標準で大半を占める。大型の家は桁行が十間を越える。特に小さな家はほとんどない。

 

間取りは「三間取り」(三列型)、「四間取り」(四列型)、「特に大きな家の間取り」(参列型)の三種類に分類できる。「三間取り」を基本にしてこれに部屋をくわえている。上手が座敷部分で全体が一室のもの、二から三室に分かれているものがある。真ん中はじろが切ってある板間とその後ろの寝室からなる。下手は土間ででいり口とその奥の馬屋からなる。「四間取り」は「三間取り」の真ん中と下手の列の間に「ちゃのま」と呼ぶ板間が加わり、その前に土間が下手からのび広くなったもの。「特に大きな家の間取り」は、座敷部分の下手に「とりつぎ」と寝間の一列が加わり、裏側に一列部屋を附加したもので「四間取り」よりさらに接客部分が充実し、寝間の数が多くなる。
(『白馬村の民家 長野県民俗資料調査5』では、「三間取り」「四間取り」としているが、「三間造り」「四間造り」の語彙のほうがよかろう。注参照のこと)
部屋の名称は、「三間造り」では、下手の表が「でいり」と呼ぶ土間、この奥が「うまや」、真ん中の表がいろいが切ってある「いどこ」、この裏が「ねどこ」、上手は座敷部分で、一室の場合は「ざしき」、表裏二室に分かれるものでは、表を「ざしき」「しもざしき」、裏を「おくざしき」「かみざしき」、単に「ざしき」などと呼び、三室のものでは真ん中に挟まれた部屋を「なかのま」などと呼ぶ。「四間取り」はこれに「ちゃのま」が加わる。

 

三 主屋の構造
構造は上屋と下屋からなる。上屋桁の高さは五-六メートル、下屋桁は葺き下ろしの家で三メートル前後である。上屋の四周に一間

 

 

 

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